地下室ができるまで【その1】


1.整地

既存建物を解体撤去し整地を済ませる。地質によっては設計内容や施工法が変わるので事前に地中深度3〜10m程度のボーリング調査:20万円程度(所要2日)の地盤データを確認する。 次に計画建物配置や基準レベルを敷地周囲の固定物にマーキングする(所要2日)。敷地上にはこのマーキングに従って地下室の大きさが描かれる。地下本体の一部に建物が載る場合は「不同沈下」が発生しやすいのでキチンとした設計をしないと上に載った建物が傾いたり亀裂が走る。こうなってからでは遅い。


2.竪穴を明ける

地上に引かれたラインに従ってH型レールを建て込む。地中に対して直径20cm程度のオーガードリルで事前に約5mほどの竪穴を明ける。その穴の中に5〜6mのH型レール15x15cmを挿入する。1m以下間隔にてできるだけ正確に垂直に建て込む。造ろうとするドライエリアを含む地下室外壁の全周に対してこれを行う。(所要2日〜3日)敷地50坪に対して地下室は建ぺい率に算入されないので境界線ギリギリまで造ることができる。今回の地下室はドライエリアを含め70畳・35坪程度の地下空間を造る。


3.敷地奥より掘削開始

敷地奥より掘削開始。レールとレールの間から切り土が見え出す。矢板と言う土の崩壊・崩落を防ぐための板(厚30mm)をこのレールとレールの中に挟み込んでいく。地下工事の約2ヶ月間は悪条件の自然気象に対応しなければならないので慎重さが必要だ。おおよその底になる設計深さ(現在の地表面下4m)まで機械で掘り進む。境界や隣接建物ギリギリでも30cm程度離れれば施工可能。雨季の時期はなるべくずらしたいところだ。(所要5日)掘削残土の運搬ルートなどは見積りにかなり影響するので事前確認は重要。


4.道路側まで掘削

掘削機は道路側に退避しながら毎日掘り続けます。底になる部分は正確な深さを確認しながら人が丁寧に土をさらっていきます。この部分は人力に頼らねばなりません。掘り過ぎてはいけません。また、足りなければ再施工になるので慎重さが必要。外部型枠の外側を掘る「余掘り」は「掘る・捨てる・土を買う・埋め戻す」ことで莫大なコストアップとなるので見積り時に必要性からチェックする。外防水を理由に業者はこのあたりを工事金額に入れたがるので要注意。100万円の無駄な見積り内容などあなたにはわからないはず。必要か不要かの判断がコストアップの分れ目。


5.掘削終了

掘削作業が終了した。ドライエリアがある場合は雨水が降り込むので基礎のさらに下に雨水集水のピット(深さ1m)を設ける。また、地階にトイレやキッチンがある場合も同様。(この汚水ピットは防臭処理が必要)これらピットの中には必ずポンプは交互運転・故障対応用に2台入れるのが鉄則。またこれらはすべて埋め込まれてしまうので事前に配管や配線をしておかねばならない。地表面下4mよりさらに1m下の埋設工事。設計内容にしたがってキチンと所定の位置に電気的・設備的な埋設処置を確認し、これらの上に栗石や砕石の地業が施工される。


6.セパレーターの溶接

いよいよ地下室の床底にあたる位置まで準備が整う。前項5で敷いた割栗・砕石転圧の上に捨てコンクリート(厚3〜5cm程度)を打ち均す。2項で入れたレールとレールの間に内型枠を引き寄せるためのセパレーター(このセパレーター長さが壁の厚みになる)といわれる金属棒を設計にしたがって規則的に溶接する。この金属棒は現場打設コンクリート工事では必須ながら漏水の原因を作りやすい。また、コンクリート打設時のコンクリート自重圧力によってセパレーターがはずれ型枠がパンクする場合もあるので入念なチェックが必要。とにかくデリケートな部分ゆえ要注意。



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